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コラム

遺言書を作りたいけれどどうすれば?遺言書を作成する前に知っておくべきこと【弁護士が答える!】

「遺言書があれば家族や親戚が相続で揉めることはなさそうだ」
遺言書の重要性がわかっていても、遺言書の種類や作り方などがよくわからない方も少なくありません。
そこで今回は坪田弁護士に遺言書を作る前に知っておくべきことをインタビューしました。
遺言書の作り方で悩んでいる方はぜひ読み進めてください。
 

遺言書にはどんな種類がある?弁護士お勧めの遺言書とは?

——遺言書にはどのような種類がありますか?
坪田弁護士:遺言書には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があります。
2020年7月からは自筆証書遺言の保管制度も始まりました。
この制度を利用される方も一定数いらっしゃいます。
 
——弁護士として先生がお勧めする遺言書ははどの遺言書でしょうか?
 
坪田弁護士:公正証書遺言です。
なぜならば公正証書遺言は、公証人がしっかりと内容を確認して、相続が発生したときにその遺言を使えるような内容として作成しているからです。
さらにお亡くなりになった後は、裁判所での検認を行うことなく公正証書遺言を開封できます。
ご遺族の負担が減りますので非常にお勧めです。
 
——自分で自筆証書遺言を作ることに、開封時の検認手続き以外にデメリットはありますか?
 
坪田弁護士:自筆証書遺言は「遺言者本人の自筆でなければならない」「作成した日付が記載されていなければならない」「遺言者の印鑑を押す必要がある」「訂正箇所にも押印が必要であり、欄外に訂正箇所を明記する必要がある」といったルールがあります。
これらのルールをすべて守らなければ、自筆証書遺言は無効になってしまいます。
 
またルールに従って作成してあっても、内容によっては遺言者の意思通りに遺言を執行できないこともあります。
たとえば、「特定の相続人に全部渡す」といった内容で作られている場合です。
この場合は他の相続人が自分の相続分を侵害されたとして遺留分の請求を行うことがあります。
 
——遺留分とはなんでしょうか?
 
坪田弁護士:遺留分というのは、法定相続分とは異なります。
基本的には法定相続分の半分が遺留分です。
遺留分は相続人に認められた最低限の相続割合といえます。
特定の相続人に全部相続させる場合は、他の相続人が全くもらえない、ほとんどもらえないといった状況が起こり得ます。
その場合は遺留分を侵害されているとして、特定の相続人に自分の遺留分を請求できるのです。
 
——公正証書遺言は自分で作ることはできますか?
 
坪田弁護士:公正証書遺言は、公証役場で公証人と一緒に作ることになります。
公証役場に遺言書の叩き台となる内容や、相続人、相続財産の一覧などを持ち込むことで、公正証書遺言を作成可能です。
 

遺言書を作る前の準備とは?

漏れなく財産を把握すること

——遺言書を作成する前にどのような準備をすればよいでしょうか。
 
坪田弁護士:まずは財産がどれくらいあるのかを把握しておく必要があります。
また何を誰にどれくらい相続させるかも考えて決めておく必要があります。
財産の把握に漏れがあると、その部分については遺産分割協議を実施しなければなりません。
つまり遺言者の意思通りの相続が実現できないのです。
 
——すべての財産を漏れなく把握することができない場合はどうすればよいでしょうか。
 
坪田弁護士:「その他一切の財産を○○に取得させる」といった一文を加えておくとよいでしょう。
弁護士に遺言書の作成を依頼した場合には、そのようなリスクを総合的に考慮した遺言書を作成できます。
 

各相続人の相続割合を決めること

——遺言書では、遺言者が自由に相続割合を決めることはできますか?
 
坪田弁護士:相続割合や内容は、遺言者が自由に決定できます。
たとえ「すべての財産を特定の相続人に相続させる」という内容であっても、遺言書としては有効です。
 
しかし、相続人には遺留分といって、最低限相続することができる権利があります。
したがって、すべての財産を特定の相続人に相続させるという遺言書は、遺言書としては無効ではないものの、他の相続人が遺留分侵害額請求を行えば、その遺言書通りの相続は実現できません。
 
——特定の相続人について「相続させない」と遺言書に書くことはできますか?
 
坪田弁護士:そうやって書いたとしても「させない」ということに特段意味はありません。
当該相続人の相続分をゼロにするように他の相続人の相続分を指定すれば、相続させないという意思は表示できるでしょう。
とはいえ遺留分がありますから、当該相続人が遺留分侵害額請求を行えば「相続させないこと」は実現できません。
 
被相続人が亡くなる前に、相続させたくない推定相続人が「遺留分の放棄をします」という申述をしておけば相続させないことも可能ではありますが、実務上は現実的とは言えません。
 
——オーナー会社の株式や自宅などの、分割すると経営や日常生活に支障を来すような財産しかない場合はどうすればよいでしょうか。
 
坪田弁護士:特定の相続人が相続して、他の相続人には代償金という他の相続人の相続分に相当する金銭を支払うといった方法で解決することが多いですね。
相続人が2人いて、1人の相続人が唯一の相続財産である2,000万円の不動産を相続した場合、不動産を相続した相続人は自分の財産から1,000万円をもう1人の相続人に渡すのです。
 

遺言書の内容を実現するための「遺言執行者」は必要?

——遺言書に書かれた内容の通り財産を分割するのは誰の役割ですか?
 
坪田弁護士:遺言書で「遺言執行者」を指定している場合は、遺言執行者が遺産相続手続きを行います。
他の相続人は手続きに関わることはできません。
遺言執行者が指定されていない場合には、相続人たちが分割することもできます。
相続人による遺言の執行が難しいと相続人が判断した場合には、相続人自らが遺言執行者を選任する手続きを行うこともできます。
 
——遺言書を書く際に、遺言執行者を指定したほうがよいですか?
 
坪田弁護士:遺言執行者が指定されていれば、遺言をスムーズに実行できます。
相続人の皆様は最低限の手続きで済みます。
また相続人間で揉めている場合にも、問題なく遺言を執行できます。
 
ただし遺言執行者を弁護士等の専門職に依頼した場合には手数料が発生します。
手数料は相続財産の中から支払うことができますが、相続財産は目減りしてしまいますのでこの点がデメリットといえるでしょう。
 

遺言書の作成に困ったらお気軽にご相談を!

——これから遺言書を作成しようとしている方にメッセージをお願いします。
 
坪田弁護士:遺言の作成自体はそんなに難しいものではありません。
先ほどお話ししましたように、遺産がどれだけあって、誰に相続させるのかっていうのを明確にしておけばそれで問題はありません。
ただし、その遺言によって発生するトラブルについては考えておく必要があります。
最たるものが遺留分を無視するような遺言です。
そういった遺言書を残してしまうと、紛争が起こってしまいます。
したがって両方に配慮した内容で、遺言書を作成すればよいかと思います。
 
——高の原法律事務所でも遺言書の作成に関する相談や依頼は受け付けておりますか?
 
坪田弁護士:当事務所では遺言書についての相談を多く受けております。
皆様からどういった内容で、どういった思いを込めて作りたいということをヒアリングします。
さらに財産の資料などをいただいて、「どなたにどれだけ残したいのか」というのをしっかり確認した上で、相続人を確定します。
その上で、ご希望の内容が遺留分を侵害していないかをチェックしながら、ご相談者さまの意思を反映した遺言書を作成していくといった手順です。
 
自筆証書遺言だけでなく、公正証書遺言を作成するお手伝いもしております。
上記のような遺言作成のサポートだけでなく公証役場とも連絡を取り、すべて当事務所の弁護士がリードして遺言書を作成します。
遺言書の作成でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

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