コラム
遺留分侵害額請求とは(平成30年民法改正含む)
遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)とは(平成30年民法改正含む)
被相続人が、相続人の遺留分を無視して財産を生前贈与や遺贈してしまった場合、遺留分を侵害された相続人は、受遺者や受贈者に対し、遺留分を請求することができます。これを「遺留分侵害額請求」といいます。例えば、被相続人が第三者にすべての財産を遺贈した場合、相続人はその第三者へ遺留分侵害額請求を行えます。平成30年の民法改正前は、「遺留分減殺請求」と呼ばれていましたが、改正により、名称が「遺留分侵害額請求」に変更されました。
遺留分侵害額請求は、相続人が相続の開始と遺留分を侵害する遺贈や贈与を知ってから1年で時効消滅します。
このように、遺留分侵害額請求ができる期間は短いため、遺留分侵害額請求を行った時期が問題となります。後日、この時期について争いが生じないよう、遺留分侵害額請求は内容証明郵便で通知をするのが望ましいです。
遺留分侵害額請求をした後、当事者間の話し合いで遺留分を相続人が受け取ることができれば、それで解決となります。
しかし、話し合いが付かない場合、家庭裁判所へ遺留分侵害額請求の調停を申し立てることができます。
調停が不成立となれば、裁判所へ遺留分侵害額請求訴訟を提起することになります。なお、調停を予め行わずに、いきなり裁判所へ遺留分侵害額請求訴訟を提起することもできます。
訴訟となれば、各証拠を提出して主張立証を行い、時間も労力を要します。しかし、最終的には判決により、何らかの判断が行われるため、紛争の終局的解決が図られます。
なお、従前の遺留分減殺請求制度の場合は、現物による返還が原則で、金銭による支払いが例外でした。しかし、そうすると、対象財産が不動産であれば遺留分請求により不動産が共有状態となり、将来それを分割する必要が生じ、将来的にも紛争が残ります。
そのため、平成30年の民法改正により、遺留分請求では遺留分侵害額に相当する金銭による請求に統一されることになりました。