コラム
寄与分とは
寄与分とは
同順位の相続人について、各相続人の相続分は均等とされています。しかし、例えば長男が父親の家業を無償で手伝って家業を大きくした場合や、長女が母と長年同居して介護をおこなってきた場合、それ以外の相続人と相続分を均等としてしまうと不公平になってしまいます。そこで、相続人の中に被相続人の財産を維持増加することに特別の寄与をした相続人がいる場合には、「寄与分」が認められます。
寄与の態様としては、家事に従事したこと、療養看護に尽くしたこと、被相続人を扶養した、被相続人の財産を管理したことなどが挙げられます。労務の提供や財産の給付、被相続人の療養看護などをすることで、被相続人の財産の維持または増加が図られたということが必要です。
そして、寄与分が認められるには、「特別の寄与」に該当する必要があり、そのためには「特別の貢献」「無償性」「継続性」が必要となります。「特別の寄与」といえるためには、被相続人と相続人との身分関係において通常期待される貢献の程度を越える必要があり、相当ハードルの高い基準となっています。
よく問題となるのが、老親の介護の問題です。昔は、自宅で寝たきりの老親をつきっきりで介護することも多かったのが現状です。しかし、最近では介護保険制度が始まり、自宅で介護度によって介護サービスを受けられるようになったため、昔ほどの負担はなくなってきています。
また、施設へ入所する場合も多く、このような場合は特別の寄与とまではいえず、寄与分は認められないことになるでしょう。
なお、平成30年の民法改正により、寄与分の対象者が見直され、相続人以外の親族(6親等内の血族や3親等内の姻族)が無償で被相続人の療養看護を行った場合、「特別寄与料」として、相続人に対して介護等の貢献に関して直接金銭請求をすることができるようになりました。