コラム
不動産の名義変更(令和3年民法改正含む)
不動産の名義変更(令和3年民法改正含む)
遺産に不動産が含まれている場合、遺産分割によって相続する際には、相続登記をする必要があります。
相続登記をするためには、遺産分割協議書に相続人全員が署名して、実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。そして、通常は司法書士を通じて法務局へ相続登記の申請を行います。
書類に不備がなければ、書類を提出して1週間程度で相続登記が完了します。
これまでは、不動産について相続が発生しても相続登記がされないまま、長期間放置されているケースもありました。しかし、現在多くの空家が放火や倒壊のおそれが生じて社会問題化しています(空家問題)。
そこで、令和3年の民法改正により、相続によって不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った日から、3年以内に相続登記の申請することが義務となりました(登記申請義務)。そして、義務違反には、10万円以下の過料の制裁が課されます。
ただ、遺産分割協議でもめて、スムーズに遺産分割がまとまらず、相続登記が3年でできない場合もあります。そのような時は、相続が発生したことを表示する「相続人申告登記」を相続から3年以内にしておけば、登記申請義務を履行したことになります。その後、遺産分割が成立したら、遺産分割成立から3年以内に、所有権移転登記をすべきことになりました。
このように、法改正によって、相続から3年以内に相続登記をすることが義務となりました。
さらに、相続開始時から10年経過すると、遺産分割をしても、法定相続分での分割のみとなり、特別受益や寄与分があっても、考慮されないことになりました。例えば、死亡した父から、特定の子が自宅購入費用をもらっていたり(特別受益)、特定の子が父を自宅で毎日介護していた場合(寄与分)でも、そのような事情は考慮されず、単に法定相続分でのみ遺産分割がなされることになります。
これを避けるためには、相続開始から10年以内に、遺産分割協議を成立させるか、家庭裁判所に遺産分割請求を申し立てる必要があります。
このように、令和3年の民法改正では、早期の遺産分割を促すため、相続人に対して一定のペナルティを規定し、国民全体に大きな影響が生じることになりました。
したがって、相続が発生すると、不動産についても早期に名義変更を行う必要があります。