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コラム

二次相続とは?一次相続との違いや相続税対策のポイントを弁護士が解説!

二次相続になると「税金がどれくらい上がるのか」「一次相続と何が違うのか」「今からどういった対策が必要か」と不安に感じる方は少なくありません。二次相続は控除が減り、優遇制度も使いにくくなるため、思わぬ税額が発生しやすい点に注意が必要です。本記事では、二次相続で税負担が増えやすい理由や具体的な相続税対策を弁護士がわかりやすく解説します。
 
一次相続を終えても、次に訪れる二次相続が心配になり、負担をどうおさえるべきか悩む方は多いです。
二次相続は控除が減り、優遇制度も使いにくくなるため、思わぬ税額が発生しやすいです。
この記事では、二次相続で負担が増えやすい理由を整理したうえで、具体的な対策を紹介します。
税金に関わる制度は仕組みが複雑に映りやすいものの、要点をおさえれば判断がしやすいでしょう。
二次相続は準備次第で負担を大きく減らせます。
 

二次相続と一次相続の違い

一次相続は、最初に亡くなった親の財産を相続人が受け取ることです。
多くの場合は配偶者と子どもが中心になります。
たとえば、父が亡くなり、母(配偶者)と子が相続するケースです。
対して二次相続は、その配偶者が亡くなった後に子どもへ財産が移る段階です。
上記の例でいえば、父が亡くなり相続を終えた後に母も亡くなり、相続が発生した状況をさします。
二次相続は相続税の負担が大きく変わる場面です。
そのため二次相続は相続税対策をすることが重要になります。
 

二次相続で相続税対策が必要な理由

上述したように二次相続では一次相続と比較して相続税負担が大きくなりやすいです。
その理由としては下記の3つがあります。
 

  • 基礎控除額が下がる
  • 配偶者の税額軽減がない
  • 小規模宅地等の特例を適用できないケースがある

 
それぞれに理由を解説します。
 

基礎控除額が下がる

二次相続では相続人の人数が減り、基礎控除額が小さくなりやすいです。
基礎控除とは「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算定される相続税の非課税枠のことで、人数が1人減るだけで控除額が600万円減少します。
たとえば一次相続で相続人が配偶者と子2人の3人だった場合、控除額は4,800万円です。
配偶者が亡くなり、二次相続では子2人だけになると控除額は4,200万円へ下がります。
評価額が同じ財産でも、控除の差で課税対象となる割合が増え、税額が膨らみます。
 

配偶者の税額軽減がない

二次相続では、一次相続で大きな効果を発揮した「配偶者の税額軽減」が使えなくなります。
これは配偶者が取得した財産のうち、法定相続分または1億6,000万円までのどちらか多い金額について相続税がかからない制度です。
一次相続でこの制度を利用すると、配偶者が多くの財産を無税で引き継げます。
配偶者が亡くなると、二次相続では軽減を使える相続人が存在しなくなるため、その財産全体に対して相続税が計算されます。
たとえば、一次相続で配偶者が8,000万円を無税で取得していた場合、同じ金額が二次相続では課税対象です。
 

小規模宅地等の特例を適用できないケースがある

二次相続では、小規模宅地等の特例を使えなくなる場面があります。
小規模宅地等の特例とは、自宅や事業用の土地について一定の要件を満たすと評価額を最大80%減額できる制度です。
一次相続では配偶者がそのまま自宅に住み続ける場合、この特例を使える可能性が高いです。
二次相続になると、同居していない子が相続人になるケースが多いため、要件である「被相続人と生計を同じくしていたこと」が満たせず、特例の対象外となります。
たとえば一次相続で3,000万円と評価された宅地が特例により600万円まで圧縮されていた場合、二次相続で特例が使えなければ再び3,000万円で計算されます。
 

二次相続での具体的な相続税対策

二次相続では相続税額の負担が大きくなりやすい理由を解説してきましたが、具体的な対策としては次の7つがあります。
 

  • 計画的に生前贈与を活用する
  • 現金から不動産への組み替える
  • 配偶者居住権の利用
  • 評価額が上がる財産の早期承継
  • 小規模宅地等の特例が活用できるように事前準備をする
  • 生命保険で納税資金を確保する
  • 相次相続控除の確認

 
それぞれ解説します。
 

計画的に生前贈与を活用する

暦年贈与の110万円非課税枠を毎年活用すれば、10年間で最大1,100万円を相続財産から外すことが可能です。
贈与税がかかりやすい大きな金額を一度に動かすより、毎年少しずつ移した方が税負担をおさえやすいです。
たとえば、一次相続で配偶者が自宅と金融資産3,000万円を相続した場合、そのすべてが二次相続の課税対象になります。
10年間毎年暦年贈与を活用していれば、課税対象は1,900万円まで圧縮できます。
 

評価額が上がる財産の早期承継

相続税は「相続発生時の評価額」で計算される仕組みがあり、価格が上昇しやすい不動産や株式などは、時間の経過とともに課税対象が膨らみます。
たとえば地価が上がっている地域の土地を3,000万円で相続した場合、10年後に5,000万円へ上昇すると、その時点で相続が起きれば5,000万円が評価額です。
一次相続でこれらを配偶者に集めると、二次相続で高い評価額のまま課税が行われ、税負担が重くなります。
贈与を段階的に実施すれば、将来の相続財産を少なくでき、子側でも長期的に管理しやすくなります。
値上りが見込まれる財産は贈与で少しずつ子へ移す形が有効でしょう。
 

現金から不動産への組み替える

現金より不動産の方が相続税の評価額を下げやすいです。
そのため、保有する現金の一部を収益物件や自宅として利用しやすい不動産に変える方法が有効です。
現金は額面どおりに評価される一方、不動産は「固定資産税評価額」など実勢価格より低く算定されることがあります。
たとえば3,000万円の現金を持っている場合、そのまま相続すると3,000万円で課税されますが、2,000万円の評価額となる不動産に組み替えるとその分課税対象がおさえられます。
 

配偶者居住権の利用

配偶者居住権とは、一次相続の際に配偶者が自宅へ住み続けられる権利を確保しつつ、
家そのものの所有権を子どもへ移せる制度です。
この制度を使うと、「住む権利(配偶者居住権)」と「家の所有権」を分けて評価できます。
たとえば自宅の評価額が3,000万円の場合、居住権が1,000万円、所有権が2,000万円というように分割でき、配偶者は住む権利を、子どもは所有権をそれぞれ取得できます。
もし配偶者が家を丸ごと相続すると、配偶者が亡くなったとき(二次相続)に3,000万円全額が相続税の対象です。
しかし、配偶者居住権を設定すれば、子どもが先に所有権を取得するため、二次相続で課税される金額を減らせます。
 

小規模宅地等の特例が活用できるように事前準備をする

一次相続の際から二次相続を見据え、小規模宅地等の特例を利用できるように整えておくとよいでしょう。
一次相続では配偶者が自宅に住み続け、二次相続でその子が自宅を相続するというケースは多いですが、同居している子が相続するなら二次相続で特例を使えます。
これは、自宅土地(特定居住用宅地等)は「330㎡まで評価額80%減」が認められる制度です。
土地が相続財産の中心になる家庭では、使えるかどうかで相続税額が大きく変わります。
たとえば、自宅土地が評価額4,000万円の場合、特例を使えば4,000万円→800万円まで圧縮され、課税価格が大きく下げられます。
 

生命保険で納税資金を確保する

生命保険で二次相続の納税資金対策が可能です。
被相続人の預金は相続発生後に凍結されますが、保険金は手続き後に受け取れるため、保険金は納税資金の確保に役立ちます。
保険金は「みなし相続財産」として相続税がかかる場合もあります。
しかし、「法定相続人の数×500万円」の非課税枠があり、この枠を超えなければ相続税はかかりません。
また、保険金の受取人を被相続人本人(配偶者)から子にしておくことで、相続の対象から外すことも可能です。
保険を組み合わせておくことで、相続時の資金不足を避けやすくなり、財産の処分を急ぐ必要も減ります。
 

相次相続控除の確認

相次相続控除とは、一次相続から10年以内に二次相続が発生した場合、一次相続で支払った相続税の一部を二次相続の税額から控除できる制度です。
たとえば、一次相続で1,000万円の相続税を支払った後、二次相続で同じ財産に対して800万円の税額が計算される場合、控除を適用すると二次相続の税額は実質的に軽くなります。
ただし、控除を受けるには、二次相続の被相続人が一次相続で財産を取得していることや、一次相続で相続税が課税されていることなどの条件を満たす必要があります。
 

二次相続では遺産分割で争いが発生しやすい

二次相続では一次相続よりも遺産分割の調整が難しく、家族間の意見がぶつかることでトラブルに発展しやすいです。
遺産分割とは、相続人同士で財産をどのように配分するかを決める手続きで、相続人全員での協議と合意を要します。
一次相続では配偶者が中心となって財産を引き継ぐことが多く、配分の方向性がまとまりやすい一方、二次相続では相続人が子どもだけになり、実家の扱いや預貯金の分け方をめぐって対立が起きやすいです。
たとえば、「長男が実家に住み続けたいが、長女は売却して分配したい」というケースでは、双方の希望がぶつかり、話し合いが停滞する例が見られます。
こうした状態を避けるには、一次相続の段階から将来の分け方を共有することが重要で、遺言書の作成や専門家への相談が役立ちます。
 

二次相続の対策について弁護士に相談するメリット

二次相続の税対策については弁護士に相談することで下記のようなメリットがあります。
 

  • 相続税対策を法的に進めやすくなる
  • 相続手続き全体を一貫してサポートしてもらえる
  • 遺産分割トラブルを避けられる

 
それぞれ解説します。
 

相続税対策を法的に進めやすくなる

弁護士は、生前贈与の進め方や財産の分け方を税務面と法的観点から整理が可能です。
たとえば「多額の贈与を短期間で行うと状況が悪くなるケース」や「遺言内容を誤ると想定と違う課税になる場面」があげられます。
制度を正しく使うには細かなルールの理解が欠かせず、個人で判断すると誤った方向に進む恐れがあります。
対策を法律に沿って組み立てると、不要な負担を避けやすいです。
 

相続手続き全体を一貫してサポートしてもらえる

二次相続は財産調査、遺産分割協議、税務申告など複数の工程があり、手続きが複雑になりやすいです。
弁護士に相談すると、各段階で必要な資料や進め方が整理され、判断に迷いません。
たとえば不動産の名義変更や預貯金の払戻しなどは、書類の不備があると手続きが止まることもあります。
専門家が関わると流れが明確になり、期限管理も行いやすいです。
負担を分散できることで、精神的な余裕も保ちやすくなります。
相続人同士のやり取りが難しい場合でも、弁護士が窓口となることで話し合いが進みやすくなり、手続き全体を着実に終える形につながります。
 

遺産分割トラブルを避けられる

二次相続は一次相続より相続人同士の利害がぶつかりやすく、実家の扱いや預貯金の分け方が原因で話し合いが進まないことを解説しました。
弁護士は法律に基づいた整理の仕方を提示でき、とくに評価が難しい自宅の分け方、代償金を利用した調整、共有状態を避ける分割方法などを具体的に示せます。
遺言が残されていない場合は争点が増えやすく、誰が何を引き継ぐのかをめぐって感情面の衝突が起きやすいです。
適切な遺言の作成などについても助言を受けることで、次の相続で起こり得る問題を防げます。
遺産分割が長引くと不動産の名義変更や二次相続の税務申告にも影響するため、早期の調整が重要です。
 

まとめ

この記事では、二次相続で税負担が増えやすい理由や、効果的な相続税対策を整理して解説してきました。
記事のポイントは以下のとおりです。
 

  • 基礎控除と優遇制度が一次相続より使いにくい
  • 贈与や財産の持ち方で税負担を下げられる
  • 遺産分割が一次相続より揉めやすい

 
二次相続は「気づいたときには遅い」場面が多いため、早めの対策が重要です。
財産の整理を一次相続だけで終わらせず、二段階目を見据えておくことが将来の税額とトラブルを大きく左右します。
複雑に見える制度も、仕組みを知れば家族に最適な選択肢が見えてきます。
現状の財産を把握し、贈与や遺言の準備を始めることが第一歩です。
「自分の判断だけでは不安」という場合、弁護士へ相談しておくと安心です。
初回無料の法律事務所もあるので、上手に活用して将来の備えを整えていきましょう。

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