遺言書が無効になるケースとは?自筆証書遺言の失敗を防ぐ回避策を解説 |高の原法律事務所相続専門サイト

                       
  • 0742813677受付時間:平日9:00~18:00(土曜日応相談)
  • お問い合わせ

コラム

遺言書が無効になるケースとは?自筆証書遺言の失敗を防ぐ回避策を解説

せっかく書いた遺言書も、形式や内容に不備があると無効になってしまいます。自筆証書遺言に多い失敗例(日付・押印・代筆など)から、遺言能力の問題、共同遺言の禁止まで徹底解説。法務局の保管制度や公正証書遺言の活用など、自筆証書遺言が無効になる事態の回避策を紹介します。
 

遺言書が無効になってしまうケースとは? その回避策についても解説

遺言書は、遺言者が亡くなった後で効力が生じるものです。
遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。この中でも、遺言者が自力で作成する自筆証書遺言は、形式と内容の双方が有効でなければならず、ハードルが高いのが実情です。
遺言書が無効になってしまうケースや、そうした事態の回避策について解説します。
 

遺言書は2種類ある

遺言書は大きく分けて、公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類があります。
他にも、特殊な形で遺言を書く方法もありますが、一般的に遺言を書こうと思っている方は、このどちらかから選択することになります。
 

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、遺言を書きたい人が公証人に内容を告げて、公証人に文書化してもらう遺言書です。
遺言を書きたい人は自分の考えていることや遺産についての情報を公証人に伝えるだけでよく、法律的に有効なのだろうかといったことは、公証人がチェックしてくれます。
そのため、作成された遺言書が無効になってしまう可能性は低いと言えます。
もっとも、公証人が手取り足取り、何でもアドバイスしてくれるとは限りませんので、有効な遺言の内容と、無効となる遺言の内容をある程度理解している必要があります。
 

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは、遺言書を描きたい人が自分で紙に手書きする方法です。
遺言書を書きたい方は、自分で遺産の情報を整理したうえで、誰に遺産を相続させたり、遺贈するのか考えなければなりません。
そして、その相続分や遺贈が遺留分を侵害しないのか、遺言書の内容が無効ではないのかといった法律的な判断も自分で行う必要があります。
更に、自筆証書遺言の書き方は、民法968条に細かいルールが定められています。
具体的には、「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と定められています。
その他、訂正方法なども決まっているため、こうした自筆証書遺言のルールを守れているかどうかの判断も自分で行わなければならないわけです。
そのため、遺言書が無効になってしまうケースについて十分に熟知したうえで作成することが求められます。
 

遺言書が無効になってしまうケースとは?

では、遺言書が無効になってしまうのはどのようなケースなのか解説していきます。
 

民法が定める形式に従っていない場合

遺言書の形式については、民法に細かいルールが定められています。
まず、公正証書遺言については、民法969条に、
 

  • 証人二人以上の立会いがあること。
  • 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

 
この二つのルールが規定されています。更に細かい書式については、公証人法により決められています。
一般的には、こうしたルールは公証人が熟知していますから、公正証書遺言が民法が定める形式に従っていないために無効になることは殆どありません。
 
一方、自筆証書遺言については、既に紹介したように民法968条に決まりがあります。
遺言書を自分で書く場合、このルールを知らないために、遺言書が無効になってしまうケースが少なくありません。
見落としがちな注意点は次のとおりです(2026年時点)。
 

  • 全文を自書する。
  • 日付を書く。
  • 氏名を書く。
  • 押印する。

 
自筆証書遺言は、全文を遺言者自身の手書きで書かなければなりません。
よくある間違いがパソコンなどで遺言書を作成してそれをプリントするという方法です。
パソコンで文書を作成する場合、本当の作成者が誰なのかわかりにくいものです。
そのため、遺言書の文章は、ご自身の手書きでなければならないことになっています。
もっとも、相続財産目録については自書することを要しないとされています。
例えば自分の財産の一覧をパソコンで作成してプリントした場合は、それを遺言書に添付することができます。
この場合、遺言者は、その目録の毎葉(両面の場合は両面とも)に署名し、押印しなければならないことになっています。
 
そして、忘れがちなのが、日付、氏名、押印です。
これらの一つでも抜けていた場合は、無効になってしまいます。
 

遺言当時遺言者に遺言能力がなかった場合

遺言するためには遺言能力が必要です。
遺言能力については、民法に根拠規定が置かれており、次のように定められています。
遺言するには15歳に達していなければならない(民法961条)。
遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない(民法963条)。
 
まず、遺言者が遺言時点で15歳に達していない場合は、遺言することができません。遺言書の形式で書き残したとしても残念ながら無効になってしまいます。
 
そして、遺言をする時において必要な能力とは、意思能力のこととされています。
例えば、遺言書を作成する時点で、病気の進行などにより、意識不明の状態にあったり、認知症等が進行していて、遺言の内容をを正常に理解し、判断できない状態にあった場合は、遺言能力がないものと判断されて、その時点で遺言が書かれたとしても無効になります。
 

遺言の内容が不明確である場合

遺言は、遺言書を読んだ人がその内容を理解できるものでなければなりません。
遺言書を作成した本人にとっては、自分の意図をすべて盛り込んだつもりでも、実際には、第三者が読んだ場合に意図が伝わらないこともあります。
このような場合は、残念ながらその条項は無効になってしまうことがあります。
遺言は遺言者の最終意思である以上、できる限り、その意図を汲み取るべきとされていますが、それでも、全く意味不明の場合は無効とせざるを得ないのです。
 

遺言書の内容が公序良俗に違反している

遺言書の内容が明確でもそれが公序良俗に違反する場合は、無効となります。
例えば、自分の遺産を法定相続人以外の人に遺贈することは自由にできます。
しかし、遺贈の相手が愛人であり、遺贈することにより、自分の配偶者や子どもといった家族の生活が脅かされてしまうといった内容の遺言である場合は、無効と判断される可能性があります。
もちろん、こうした遺言が直ちに無効になるわけではありませんが、争いの火種になる可能性が極めて高いと言えます。
 

他の人が代筆した遺言の場合

自筆証書遺言書を作成できるのは遺言者本人だけです。
遺言者自身がペンを持つことができない場合は、信頼できる第三者に口述して代わりに書いてもらうことはできるのではないかと思うかもしれません。
しかし、第三者が自筆証書遺言書を代筆しても無効になります。
もしも、遺言者本人がペンを持てない状態にある場合は、公正証書遺言によるしかありません。
公正証書遺言なら、公証人が代筆できるので、本人はその内容を確認するだけで足ります。
 

共同遺言を作成していた場合

共同遺言とは、二人以上の人が同一の証書に遺言を書くことです。
代表的なケースとしては、夫婦が一緒に遺言書を作成し、
夫が亡くなったら妻に遺贈する。
妻が亡くなったら夫に遺贈する。
といった内容を1枚の自筆証書遺言として作成してしまうケースです。
こうした内容の遺言を作成したいのであれば、夫と妻がそれぞれ個別に遺言書を作成する必要があります。
 

証人に適さない人が立ち会っていた場合

公正証書遺言を作成する際は、証人二人以上の立会いが必要とされています。
証人は、特別な資格は必要ないため、誰でもなれますが、次のような方たちは、証人になれないものとされています(民法974条)。
 

  • 未成年者
  • 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

 
特に注意したいのが、推定相続人です。つまり、遺言者の配偶者や子どもや兄弟などに証人になってもらうことはできません。
全く利害関係のない人に頼む必要があるわけです。
遺言者がご自身で証人になってもらえる人を探せない場合は、公証人に頼めば探してくれることもあります。
 

遺言書がある場合相続手続きはどう行われるのか

遺言書がある場合、相続手続きは、その遺言書が公正証書遺言と自筆証書遺言書のどちらであるかにより異なります。
 
公正証書遺言の場合は、そのまま相続手続きに使うことができます。
つまり、遺言書に書かれているとおりに相続手続きを進めていきます。
 
一方、自筆証書遺言書の場合は、法務局に遺言書を預ける「自筆証書遺言書保管制度」を利用しているかどうかにより若干手続きが異なります。
自筆証書遺言書保管制度を利用している場合は、相続人の方が遺言書情報証明書を取得して、これを基に相続手続きを進めていきます。
自筆証書遺言書保管制度を利用していない場合は、自宅などに保管されている自筆証書遺言書を家庭裁判所に持ち込んで、検認という手続きを経る必要があります。
検認を終えた後で、その遺言書を基に相続手続きを進めることができます。
 

遺言書が無効になった場合は相続手続きはどうなるのか?

遺言書が無効となった場合は、相続手続きはどうなるのでしょうか。
まず、遺言書が無効になるというのは2つのパターンが考えられます。
 

  • 遺言書の形式がそもそも無効である場合
  • 遺言書の内容が無効と考えられる場合

 
それぞれ確認しましょう。
 

遺言書の形式がそもそも無効である場合

代表的なのは、自筆証書遺言で、民法に定められた形式を遵守していないケースです。
この場合は、不動産の相続登記や銀行での手続きでも利用することができません。
そのため、相続人同士で話し合いを行い、遺産分割協議書を作成して、これに基づいて相続手続きを行う必要があります。
 

遺言書の内容が無効と考えられる場合

例えば、遺言書の形式は問題ないけれども、遺言書作成時に、遺言者の遺言能力がなかったといったケースです。
この場合、遺言書の形式に問題がなければ、相続手続きで利用することは可能です。ただ、内容によっては、遺言書が有効か無効かを巡り、相続人同士で争いになる可能性があります。
また、遺言書の一部の条項が無効になるというケースでは、その条項のみが無効になり、それ以外の部分は有効な遺言書として利用することができます。
 
遺言書の内容が無効というケースでは、相続人の誰かがこれは無効だと主張しない限り、有効な遺言として扱われてしまいます。
遺言書の無効を主張したい場合は早めに弁護士に相談することが大切です。
 

遺言書が無効になる事態の回避策は?

遺言書が無効になるのは、法律家の助言を全く聞かず、自力で自筆証書遺言書を作成したケースが多いです。
ご自身では完璧な自筆証書遺言書だと思っていても、実際には、形式から既に無効だったり、遺言では実現できない内容だったりするわけです。
 
では、こうした事態を避けるためにはどうしたらよいのでしょうか。
 

公正証書遺言を作成する

遺言書が無効になる事態の有効な回避策は、公正証書遺言で遺言を書くことです。
公証人に遺言書の作成を依頼した場合、まず、形式についてはミスすることは殆どありません。
また、遺言書の内容についても、公証人は助言することができるため、無効となるような条項が盛り込まれることは殆どありません。
弁護士でも、遺言書を作成したいなら、公正証書遺言を利用するようにアドバイスすることが多いです。
 

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する

法務局の自筆証書遺言書保管制度は、自筆証書遺言を自宅においておくと発見されなかったり紛失してしまうといったリスクを回避するための制度として作られました。
同時に、自筆証書遺言が形式不備により無効となる事態を防ぐ役割もあります。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する際は、法務局の保管官が、自筆証書遺言書の形式をチェックします。
形式に不備があれば訂正するように促したり、再提出を求める形になります。
そのため、自筆証書遺言書保管制度を利用していれば、民法に定められた形式を満たしていないから無効になるという事態は避けられます。
 
ただ、法務局の保管官は、遺言書の内容については助言することはできません。
そのため、遺言書の内容が無効となる事態を防ぐには、別途、弁護士等の専門家に相談して添削を受けることが大切です。
 

自筆証書遺言書を作成する際に弁護士に相談する

自筆証書遺言書を書きたいと思ったときは、独力で書くのではなく、一度は、弁護士に添削してもらったり、作成前に弁護士に相談することが大切です。
特定の相続人の遺留分を侵害している等、遺言書の内容によっては、相続人同士で争いが生じてしまうこともあります。
こうした事態を避けるためにも、遺言書作成を思い立った時点で弁護士に相談してください。
公正証書遺言を作成する場合も、公証人は準公務員の立場なので、細かい相談事に対応してくれないこともあります。やはり、弁護士に相談するのがベストです。
 

まとめ

遺言書が無効になってしまうケースと回避策について解説しました。
遺言書が無効になると、遺言者は既に亡くなった後の話なので、取り返しがつかないことになります。
また、遺言書が原因で、家族の仲が壊れて相続争いに発展してしまうこともあります。
こうした事態を避けるには、遺言書の作成を思い立った時点で早めに弁護士にご相談ください。

その他のコラム

遺言能力とは?判断のポイントや疑問の残る遺言書への対応について弁護士が解説!

詳しく見る

遺言書を作成するメリット・デメリット

詳しく見る

遺言書作成の流れとポイント

詳しく見る

自筆証書遺言書を作成するときの素朴な疑問を弁護士に質問!

詳しく見る

父親が亡くなったけれど遺言書がない!どうすれば?【弁護士に聞く】

詳しく見る
  • 相続のご相談はこちらからお気軽にどうぞ
  • 0742813677 受付時間:平日 9:00~18:00
  • メールで相談予約をする