コラム
遺言作成の留意点
遺言作成の留意点
遺言書を作成する際、まず遺言をできるだけの認知能力(遺言能力)が必要です。ただ、その判断能力というのは、遺言の内容を具体的に決定し、どのような効果が発生するのかがわかればよいので、民法ではその基準を満15歳としています。
自分のどのような遺産を誰にどのように渡すか、ある程度認識していることが必要です。したがって、例えば認知症で相当判断能力がなくなっている場合は、遺言書の作成が難しくなります。
遺言能力の有無は、遺言の内容、遺言者の年齢、心身の状況、健康状態その他の事情を総合的に見て判断されることになります。したがって、遺言者が認知症であっても、「すべての遺産を妻に相続させる」という単純な内容であれば、遺言は有効になる可能性が高まります。
次に、遺言の記載内容にも注意が必要です。通常遺産は不動産、預貯金、現金、株式など、複数あることが多いため、それぞれについて内容を特定する必要があります。例えば不動産の地番が間違っているような場合は、遺産の特定ができないため、せっかく遺言を作成しても、将来遺言によって登記をすることができなくなります。
公正証書で遺言を作成する場合は、事前に不動産登記簿謄本などでその内容をチェックするため、そのような記載ミスは起こらないのですが、自筆証書遺言の場合はこのようなチェックが入らないため、記載ミスが生じる可能性があります。
なお、遺言書を作成する時から将来相続発生時までに、財産内容が変化する可能性があります。そのような場合でも、漏れをなくすために「その他この遺言書に記載のない一切の財産」という形で遺言を作成しておきましょう。この記載があれば、仮に記載のない財産があったとしても、遺言の対象となるので安心です。