コラム
不在者がいる場合の遺産分割
不在者がいる場合の遺産分割
遺産分割は、相続人全員で行う必要があるので、相続人全員が連絡をとれて協議できる環境にいることが前提となります。
しかし、相続人の一人が海外に居住していたり、単身赴任で海外にいる場合もありえます。このような場合でも、電話や電子メールなどでお互いに連絡が取れる場合は問題ありません。
相続人が海外へ行って、その後連絡がとれず行方不明となった場合は、遺産分割協議ができません。そこで、そのような人は「不在者」として家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申立てることになります。不在者財産管理人が決まると、その者は不在者の代わりに遺産分割協議を行い、相続することが決まった財産について、不在者が帰ってくるまで管理をする必要があります。
生死不明の状態が7年以上経過した場合は、不在者財産管理人ではなく、「失踪宣告」の申立を行うこともできます。失踪宣告の申立があると、家庭裁判所は6ヶ月以上の期間を定めて不在者の生死の届け出をするよう公告の方法で公示します。この期間が経過すると、失踪宣告の審判が下され、不明者は行方不明になってから7年経過したときに死亡したものと見なされます。
したがって、失踪者を除いた相続人で遺産分割協議をすることができます。なお、失踪者に子がいる場合は、その子が失踪者の代襲相続人として、遺産分割協議に参加することになります。