解決事例
遺産分割(調停)
10年前に死亡した父親の遺産相続分割協議が整わないので、弁護士が入り調停で解決した事例
●背景
Aさんの父親Bさんは、会社を経営していましたが10年前に死亡しました。長女のCさんの夫Dさんが会社を引き継ぎましたが5年前に廃業しました。
Aさんの死後、遺産分割協議なしにCさんとDさんが実質的にBさんの遺産と会社の財産は引継いでいました。
Bさんの銀行預金は、Cさんが相続人を代表して受け取ることになりましたが、遺産分割協議はなされず、Cさんが受け取ったままでAさんは1円も受け取ることができませんでした。
その後、AさんはCさんに何度も遺産分割協議をするように要請しましたが、まったく無視されて時間だけが過ぎました。
●弁護士の関わり合い
Aさんは、自分だけでCさんに遺産分割協議に応じさせるのは無理と思い弁護士に相談されました。相談後、Aさんはこの件の解決を弁護士に委任されました。
委任を受け、弁護士はCさんに遺産分割協議に応じるように文書で要請しましたがCさんからの回答はありませんでした。
やむをえず、弁護士はBさんの遺産の調査を進め、家庭裁判所に遺産分割協議の調停を申し立てました。調停において、CさんはBさんの財産は殆ど清算した会社の所有であるため、相続の対象になるものは極めて少ないと主張しました。
弁護士は調停の過程でCさんから提出された資料を細かく分析し、その矛盾点や問題点を指摘し、Cさん側の主張に正当性が少ないことを主張しました。
Cさんも当初の頑なな主張を変更せざるを得ず、3回の調停の後、Aさんの要求をCさんが受け入れ調停が成立しました。
Aさんは、金銭的には当初に考えていた金額ではなかったのですが、Cさんから長年に渡り無視されていた遺産分割協議が完了し、心の中のモヤモヤ感がなくなり、スッキリした気分になり満足されました。
●弁護士の所感
地方では、家業を継いだ人が親の財産も継ぐのが当たり前と思っている場合も少なくありません。そのような場合は、他の兄弟姉妹が親の遺産の分割協議を要求しても快く思わず、無視して放置する場合も多々あります。
通常人間関係の悪化の恐れを考えて、他の兄弟に対して遺産分割協議の調停のような法的手段をとるのはためらわれます。そのような場合、当人の内心のストレスは高まり精神的に良くない状態が続きます。
将来にわたってそのような状況を続けるのが耐えられない場合は、やはり法的な手段をとるしかありません。
弁護士は委任者の悩みや思いを聞いて、一番適切と思われる方法を提案し、遂行できます。弁護士に委任することにより、委任者が直接交渉することなく感情的な争いを避け、解決を目指すことができるので、委任者の精神的負担を軽減できます。